子どもが野菜嫌いなのはなぜ?
「どうして子どもは野菜が嫌いなのですか?」という質問を多く受けます。
実は、子どもの野菜嫌いは不思議なことではありません。
子どもは食体験が未熟なので、好き嫌いが動物に近いのです。
動物は、生きていくのに必要なたんぱく質や糖質、油質、脂質、塩類を本能的に好みます。
これらの多くは、甘味やうま味、塩味がメインで、動物も子どもも本能的にその味が好きなのです。
逆に、苦味は、化学物質や毒性がある食べ物に含まれていることが多いので、動物は本能的に避けようとします。
食べ物の腐敗や未熟を示す酸味も同様です。
もちろん、苦味や酸味があっても安全な食べ物はいくらでもありますが、「それが安全であるかどうか」は、体験や学習を通じてしか確認することはできないので、動物はそれを避けるのです。
子どもが苦味や酸味のあるものを好きになるには、苦味のある山菜がおいしい、酢の物が体によいなどの食体験を重ねて、それらが安全な食品だと学ぶことが必要なのです。
「味覚」は生まれたときからでき上がっている
「味覚」と「嗜好」は、別の概念です。
味覚とは、舌で感じたものを味という信号にして脳に伝えるためのメヵニズムです。
例えば、甘味やうま味を感じると、信号で糖分やたんぱく質の存在を脳に知らせたりします。
味覚は、生まれたときからほぼ備わっています。
新生児は、塩味に対する味覚が弱いのですが、生後5~6か月を迎えるころには、大人と同じようにでき上がっています。
ですから、食べ物の好き嫌いは、味覚というよりも嗜好の問題と考えてよいと思います。