腰砕けのお母さんと押しの強い子 3

わが子に嫌われたくない

さて、前回の続きですが、

Sさんは電話を切ったとたん、山積みになっているゲームソフトを思い浮かべ、ため息をつきました。

ほんとに勝手な「約束」をしてくれて・・・。

でも信郎君は一人っ子だし、とくにお金に困る状況ではないし、信郎君の要求をはねのけるだけの動機も、自分のなかにはないような気がするのです。

このタイプのお母さんには、子どもの要求をつっぱねると嫌われるのではないか、子どもがぐれるのではないかという気持ちが、心の底に潜んでいます。

ちょくちょく職場に電話をする信郎君をSさんが諌めないのも、私が家にいなくて寂しい思いをさせたら、悪いことをするのではないか、買い与えないと万引きでもするようになるのではないかと、心配をしてしまうのです。

けれどそんな心配をするより、どうやったら子どもが欲望を抑えることができるか、ということをしつけるほうが大切なのです。

子どもの欲望を抑えないで、欲しがるままに与えていったら、欲望は際限なく膨らみ、要求もエスカレートしていくのです。

 

子どものわがままには取り合わない

ここに出てくるお母さんたちは、誰も子どもの要求をよいものとは思っていません。

言葉遣い、食べ物の好き嫌い、やたら物をねだる、どれもいけないとわかっていながら、子どもの勢いにのまれたり、言い負かされたりしてしまうのです。

子どものほうも親の弱点を知って、そこを突いてきます。

初めに「いけない」と言ったのに、あとから子どもに言い負かされる形で「よし」とすることが繰り返されれば、「お母さんなんてちょろいもの」、さらに「大人なんてちょろいもの」と、大人をなめる子に育ちやすいものです。

子どもの話に耳を傾けるというのと、子どものわがままに耳を傾けるというのは違います。

子どもが言っていることが正当な要求ではなく、わがままであると判断した場合は、「ダメなものはダメ」ときっぱり態度で示し、話は早々に切り上げ、相手にしないことです。

 

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