どうしてそんな子どもに育つのか?
「横着に構える子」が増えていくのは、何をするにしても、最後はお母さんが手を出して、始末して片づけてくれるからです。
グズグズ着替えをしていれば、横から手伝ってくれる。
学校のプリントを出さないでいれば、お母さんがランドセルのなかから探し出してくれる。
忘れものがあれば大急ぎで届けてくれる。
お金を落とせば、怒りながらもやはり出してくれる。
5年生になった義久君も、最近はだんだん横着になってきました。
お母さんが何か言うと「ハーイ」と返事だけして、実際はまったく動こうとしません。
お母さんの言うことをきかなくても、ちゃんとやってもらえることを知り抜いているからです。
こんな形で親の「言うことをきかない子」とくに男の子が増えています。
お母さんは始終ガミガミロを出していますが、実はそれが少しも役に立っていないことに気がついていません。
それというのも、心の奥底で、赤ちゃんのときのようにわが子の面倒をみることに、快感を覚えているからです。
「この子は私がいなくちゃダメなのよね」というひそかな快感、それが「親の言うことをきかない」くせに自立できない子を育てていることがわからないのです。
先生に「掃除しとけよ」と言われると「ハーイ!」と返事だけして実際には全然動かない中学生が増えていますが、彼らのほとんどは義久君のように、家庭でも「言うことをきかない子」なのです。
子どものやることをじつと見守り、子どもが助けを求めてきたときだけ、「こうするのよ」と根気よく教えてやるのは、お母さんにとってなかなか難しいことです。
手を出してサッサと自分でやってしまうほうが、はるかに時間がかからないからです。
「子育ては忍耐」というのは、そういうところを指します。
知らず知らずのうちに「言うことをきかない子」を育てないように注意して頑張りましょう。