気性の激しいお母さんと気の強い子の場合 2

厳しいだけでは子どもは辛いことをわかってほしい!

Yさんの初めての出産は、三十代半ばを過ぎてからでした。

それまで大手の銀行員としてがむしゃらに働き、結婚よりもキャリアを積むことが大事だと思っていたのです。

 

ところが、同じ職場の男性と恋に落ちてめでたく結婚し、すぐに妊娠したのであつさり退職してしまいました。

 

Yさんは三人姉妹の末っ子で、そのせいで小さい頃から蝶よ花よと甘やかされて育ちました。

そのために、甘やかしてはいけない、わが子を自分のようにさせてはいけないという思いが強く、Yさんは長女を厳しくしつけることにしたのでした。

 

がむしゃらに仕事をしてきて、自分にも他人にも厳しかったYさんでしたので、仕事に向けられてきた全エネルギーがすべて、生まれてきた洋子ちゃんに向けられてしまったのでした・・・。

 

洋子ちゃんが三歳になる頃には、Yさんが何か言うとおびえたような表情をするようになりました。

Yさんが「洋子!」と言っただけでビクッとし、後ずさりすることさえありました。

Yさんはその顔を見ると、何とも言えない感情が過ぎり、よけいに腹が立つのでした。

 

「なにビクビクしてんの!お母さん、教えようとしてるんでしょっ!」

会話は初めから、喧嘩腰でした。

 

二人目の康太君が生まれてから、洋子ちゃんはビクビクした表情を消していきました。

洋子ちゃんはYさんに似て、実は気の強い、負けず嫌いな子だったのです。

 

そして康太君の登場によって、Yさんに対する反発が激化してしまい、Yさんが何か言っても、時には「フン!」とそっぽを向いて、わざと反抗的な表情を見せるようになったのです。

 

エネルギーが過剰な母親は外に出よう

 

 

母親の大きなパワーがすべて子どもに向かってしまったら、気の弱い子どもであれば親の言うなりになってしまいます。

 

しかし性格の強い子の場合、反発して「言うことをきかない子」になっていくのです。

誰でも頭ごなしに、始終怒られたり命令されたりすることを好きな人はありません。

 

どんなにお母さんがよかれと思って注意しても、自分を傷つける言葉が連日浴びせられるのでは、子どもは避けようとするに違いありません。

それが「言うことをきかない」という形になってあらわれたのが、洋子ちゃんの場合でした。

 

Yさんは仕事が大好きなキャリア志向が強い人でした。

職場から家庭へと一気に環境が変わってしまい、家事と子育てに明け暮れる毎日にどっぷり何年間もつかっています。

 

正社員として働くには、年齢制限があって希望の職種にはつけません。

仕事ではなくても、康太君が一歳になったら何か自分で始めたいと思っていましたが、迷っている間にあっという間に時間が過ぎていきます。

 

Yさんにとって、自分のエネルギーを思い切り出せる場所は家庭以外にしかないのです。

しかし、Yさんのようにあり余るエネルギーを持つ女性が、それを家庭内だけで発散するのは、たいへん難しいことなのです。

 

家庭で発散しようとすると、どうしてもそのパワーは子どもに向かってしまいます。

「しっかりしつけなくては」という母親の思いが、過剰な厳しさとなって子を萎縮させてしまうのです。

 

そして、子どもが反抗的になると「これは心配だ。この子が素直に言うことをきくようにしつけなければ」と思ってしまうのですが、厳しいだけのお母さんがどなればどなるほど、子どもの心は母親から離れていきます。

 

パワーが有り余っているお母さんは、家庭を離れた自分の世界を持つことを早いうちに考えたほうがいいのです。

家の外でいろいろな人たちとの交流を持ち、刺激を受けることで、子どもとの距離感もバランスがよくなっていくでしょう。

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